大人の見識
![大人の見識 (新潮新書) 大人の見識 (新潮新書)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/414KRCZSZzL._SL160_.jpg)
- 作者: 阿川弘之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 新書
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第2次大戦前後のご自身が実体験された当時の日本人の品位や叡智、ユーモアに対する捉え方や表現方法などの事象を軸に、現代日本人はKnowledgeとWisdomの違いが理解出来ていないと言う点を指摘されており、大人の見識と言う意味では大変説得力がありました。結論として日本文化の変化が進化ではなく廃退への道を辿っているのではないかと、日本の近未来に警鐘を鳴らしている印象を受けました。
内容は私のように無知でもとても読みやすい内容で、時々クスクスと笑わされながら、随所でそうそうと頷きながら読ませてもらいました。その中でも特に、阿川先生がおっしゃるように、欧米から尊敬されていた、以前の日本人は今何処へ?と思わされました。私も以前ロンドンを訪問した際に、アメリカに比べて、比較にならないくらいMatureな文化だと言う強い印象を受けました。
最近の日本では、ほんの20年前では考えられなかったような考え方や道理が蔓延しており、その原因はやはり、「欧米化」「ゆとり教育」と言うような甘い蜜の名の元に誘われた、ありもしない桃源郷を目指した結果、現実は衰退への一途を辿っているだけのように思われてなりません。(などと考えていたら、日本の学習指導要領が変更になりそうです。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080215-00000069-mai-soci )
今の日本はどちらかと言うと「欧米化」というより「米化」だと思っています。ただアメリカと日本ではその国力に絶対的な差がある上、経済的にも破綻をきたしているので、そろそろ転換期を迎えても良いのではないかと思います。
転換に際して、金田一さんが以前おっしゃっているように、言語や文化は進化が止まった段階で退化の一途を辿ると言う点に付いては私も同意いたしますが、重要なのは、阿川先生のおっしゃるように温故知新の心を忘れてはいけないように思います。
皆さんも是非、なぜ「故事を温める」必要があるのか考えられてから、ご一読ください。